インプラント専門ガイド
インプラント症例紹介
― 患者さんの将来を見据えた、慎重かつ継続的なアプローチ ―
本症例では、上顎の前歯の一部(左側側切歯)が生まれつき存在しない患者さんに対し、インプラントを用いて機能と審美性を回復したケースをご紹介します。欠損した部位が前歯部という見た目に大きな影響を与える場所であり、また骨や歯ぐきの状態にも制限があったことから、治療計画の立案から術後のフォローに至るまで、一つひとつの判断が重要な症例でした。口腔内全体の健康や将来のメンテナンス性も大切な要素と捉え、骨や組織の状態を三次元的に把握したうえで、安全性を高めた治療計画を立てています。
患者さんは、長年前歯の欠損を気にされており、「自然な見た目で、しっかり噛める状態にしたい」とのご希望をお持ちでした。診察の結果、左右の歯とのスペースが非常に狭く、インプラント体を入れるための骨量も不足している状態であることがわかりました。さらに、歯肉が薄くデリケートな状態(いわゆる"シンジャームタイプ")だったため、術後に歯ぐきが下がってしまうリスクも高いと判断し、審美的な仕上がりにも細心の配慮が必要でした。
治療前の状態
患者さんと丁寧に相談を重ねた上で、今回はストローマン社製のティッシュレベル・ナローネックインプラントを選定しました。このインプラントは狭いスペースでも安定して埋入でき、周囲の歯ぐきと調和しやすい構造になっており、組織への侵襲を最小限に抑えることができます。
埋入手術は「必要以上に骨や歯ぐきを切開しない」「骨の再生を促す処置(骨造成)を慎重に行う」という方針で進めました。また、治療が終わったときに満足するだけでなく、その状態が10年、20年と続くことを念頭に、前歯部という審美領域だったため最終的な被せ物のデザインにも時間をかけて調整し、周囲の歯との色・形・角度などがしっかり馴染むよう配慮しました。
治療後の状態
埋入手術の後は、インプラントのケアに関する専門知識をもつ「インプラント学会専門衛生士」による丁寧なメンテナンスと、患者さんへのセルフケア指導を継続的に実施しました。患者さんも口腔衛生に対する意識が高く、指導にしっかり取り組んでくださったことが、良好な経過につながっています。
患者さんご自身が継続して管理できること、そして医院としてしっかりサポートし続けられる体制が不可欠と考え、今も定期的なメンテナンスに通院されています。治療から約20年が経過した現在も、歯ぐきの退縮やインプラント体の露出といったトラブルは一切なく、見た目も自然なまま保たれています。
20年という長い時間を経ても変わらず快適に過ごしていただいており、日常生活に支障をきたすことなく使用されています。
治療7年後の状態
本症例は、骨や歯ぐきの状態から判断すると、一般的なインプラント治療と比べて難しい点の多いケースでした。しかし、患者さんとの丁寧なコミュニケーションと、"長期的に健康を守る"という視点に立った治療計画とケアを通じて、20年という長い時間を経ても変わらず快適に使っていただけているという結果につながりました。
今も定期的なメンテナンスに通院され、健康な状態を維持しており、その後の生活がどれだけ快適で、自然で、健康を保てるかが、治療の本当の価値だと私たちは考えています。
当院では、今後も一人ひとりの患者さんの状況やご希望に寄り添い、長く安心してお使いいただけるインプラント治療をご提供してまいります。
※写真はすべて患者様のご同意をいただいた上で掲載しております。
詳しくは料金表ページをご覧ください。